第12章 暴走
歩いていくと寮が見えてきた
まだ明かりがついている
消灯前だ
『この格好では入られんな・・』
寮から死角になり見えないであろう場所へと腰を降ろした
寒くて早く中に入りたいけど、この格好じゃ入れない
自然にため息がもれる
身体中に走る痛みと、柚香先輩に着いていけばよかったかなという後悔、自分の無力感、全てに支配され止まらない涙
「お前・・・・」
声がした方に顔をあげる
月明かりとともに見慣れた顔が映った
『なつ・・め・・』
「どうしたんだよその格好・・!」
ボロボロになり、所々破けている制服
こんな格好で外に座っていたら驚くのも当たり前だ
『・・・・』
棗の姿を見ると、より一層涙が溢れてくる
「何があったんだ・・」
『痛"ッッ』
傷だらけの皮膚に棗の感触がすると、無意識に身体から痛みを感じる
「この傷なんだよ、誰にやられたんだ」
『誰・・って・・』
「・・・・」
『あの人しかおらんやん』
「・・・・」
無言で上着をかけてくれた
この時、気づいたけどわたし大人の姿のままやったんや・・
出会ったのが棗でよかった・・
『ありがと・・』
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