第11章 帰還
「で、ここに戻ってきた本当の理由なんだけど」
『本当の理由?』
「・・・・」
真っ直ぐにこちらを見てくるナル
『な、なに・・?』
「柚香先輩に・・会いたいかい?」
『あ、会いたいに決まってるやん』
「じゃあ、来て」
ぐっと手を引っ張られ起こされる
立ち上がってもナルの腰辺りにしかならないこの身長のままこんな話をナルとしているのに違和感を感じる
手を引っ張られたまま部屋を出ようとするナル
『ちょ、ちょっと!このまま出たら怪しいやん!』
「10歳の子はそんな目で見ないから大丈夫だよ
やっぱり、そーやって変な方に考えるところは10歳じゃないよね」
『・・・・ッう、うるさいわ』
にやにやっと笑みを浮かびながら私の手を引っ張っていくナル
どんどん歩いていくナルに着いていく私
中庭を抜け人通りが少ない場所へとやってきた
ここは忘れもしない思い出の地
行平先生のお墓・・
ここに来るのは久しぶりだ
卒業して初校長の元へ行く前にこちらへと足を運んだ
私はやれるって、柚香先輩と行平先生に誓ったこの場所
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