第4章 Battle4 ライバル登場
振り向かなかったけど、たぶん姉さんも泣いてる。
そういえば、姉さんも僕も三十路だ。
いい年したおばさんが、ネカマなんて、本当に何やってんだろ……?
姉さんからしてみれば、金持ちで、女の子に優しいイケメン王子。
結婚する気満々だったんだろうなぁぁぁぁ。
「恵ちゃん、今後絶対男キャラで遊んじゃ駄目だよ?」
「はい、ごめんなさい。もうしません」
「変に、期待を持たせちゃ、相手が可哀想だからね」
「あ、はい。心得ております」
僕は、ネカマで誰かを騙したって十字架をずっと背負って生きてくんだ。
あーあ、美しくないなぁ、この頃の僕。
「でも、ずっと最強の貴方で居てね、か。女心には驚かされるな」
「そうだね、本当ならゲームはやってほしくないって思うのに」
「……強さに惹かれてたんだろ?」
「あー、なるほど」
姉さんの、最後の言葉がまだ耳に残ってる。
キザでお調子者で。
それでも、皆からしたら、僕はかっこよかったんだ。
ネカマって、すぐバレるものだと思ってたけどなぁ……。
「これは、次のゲームでも最強狙わなきゃね」
「不敗の王かー」
「期待通り、不敗の王になって驚かせてやろうぜ!!」
「――でも、やっぱりどんな状況でもエルは許せない。僕は、やっぱエルを倒すために、戦い続けたい」