第21章 ただいま現世
何処もかしこも問題だらけで、知恵熱が出ちゃいそう。
普段、そんなに頭を使わないからね……。
「主命は絶対だ」
流石、忠犬長谷部。
つい最近、弟が夜仕事に出かけるせいで一緒に眠れないけど、それ以外は毎日長谷部が外でついてるからね。
キャンプ用の寝袋を用意して、優ちゃんの部屋の外で寝泊まりする徹底ぶり。
流石に、忠犬すぎて怖いよ。
「一時の我慢ですか……」
相変わらず、左文字兄弟は過保護だ。
二人が小夜くんの手を引いて歩いてる。
小夜くんは、彼らにされるがまま特に何も言わずにずっとついて行く。
他の短刀たちと遊ぶ時も、必ず左文字兄弟が側にいる徹底ぶりだ。
「僕は、兄様たちについて行く」
小夜くん自身も、自分の感情をあまり表に出さない。
でも、それが時々僕を警戒した行動に見えるんだ。
――だって、この前僕が帰ってきた瞬間、小夜くんが短刀達と遊ぶのを止めたから。
それを見るまで、僕は全然警戒されていることに気が付かなかった。
現在も、左文字兄弟は僕を警戒しながら話してる。
僕と話すときの彼らは、極力話を早く終わらせようと努力してるように見えてきた。
だって、さっきの発言も兼さんに合わせる形で入ってきた。
なんていうか、僕の過去って思ったより重いものかもしれない。
つい最近、そう思うようになってきた。
飛行機に乗って出発する時もそうだ。
今回は僕が一番最初に乗り、窓際の席をとった。
でも、近くにきた小夜くんは僕を見るなり、反対側へと歩いて行った。
左文字兄弟は、あまり感情を表に出さないからわかりづらい。
でも、よくよく観察すると行動で明らかにされてる。
本当は、今剣くんとも仲いいみたいだし。