第19章 徐々に変わってくる
戦って戦い続けるうちに、僕はレベルをカンストしてしまった。
そんなに、時間はかかってないはずなのに。
装備も結構いいヤツをつけてるし、特にやることがなくなってしまった。
――でも、どうしよう。
戦っていないと、嫌なことを思い出して、頭がどうにかなりそうなんだ。
「サティラちゃん、修行へ行こう」
「やった、いいんですか?」
あれから、僕は天界に遊びに来たプレイヤー相手に外パーティーを組み、レベル上げの手伝いをするようになった。
外パーティーっていうのは、レベルを上げたい人だけパーティーを組み、経験値がいらない支援者は外で戦うことだ。
レベルがカンストしても、こうやって僕は誰かのレベル上げを手伝って生きてる。
あぁ、楽しい。
戦ってる時の緊張感って最高だよね。
ここでは、MP回復もすぐ出来る。
――無理して、下界に降りることはないんだ。
「セレナーデ様、ありがとうございます! いつも、助けて頂いたお陰で、私友達にレベルが追いつきました!」
「そう? それはよかったね」
「はい!」
そう言って、サティラちゃんは来なくなった。
この前は、レジーナちゃんだっけ。
ある一定のレベルに達したら、皆見なくなるんだ。
寂しいな、寂しいな、寂しいな。
「セレナーデ、ログインし続けて一ヶ月よ? そろそろ、ログアウトしたらどうなの?」
「ウリエル様。大丈夫、まだそんなに経ってませんよ」
「経ってるわよ。一度、外に出てごらんなさい。一日中戦い続けても、永遠に貴方の心が晴れる日はこないのよ?」
「ウリエル様……」
「元気な貴方に戻ってほしいの。貴方がここに居るおかげで、天界は守られてるけど……、下界は一ヶ月で酷い有様よ……」
「そう、ですか……」
「貴方が元に戻る解決方法は、外の世界だけよ。見つけられるのも、貴方だけよ。戦っても、駄目なのよ」
そういえば、最後にゾクゾクしたのって、いつだっけ?