第16章 審神者の帰還
「女なのに、王とな……?」
「そうそう。前世が、無敵の王だったよね。信頼してた家来の誕生日に、プレゼントを渡そうとして、家来から闇討ちされたんだっけ?」
「そうそう、プレゼント用意してないんじゃって勘違いされて」
「あれ、そういう理由でエルくんに倒されたの?」
「うん、実はたったそんだけなの」
アハハー、よくよく考えてみると、本当に馬鹿らしい理由で僕らの関係って終わったなぁ。
「覚えてないだろうけど、何度もPKから助けてもらったんだよ」
「うんうん、セレナーデが居る時だけは安全に狩りができたから」
「あー、気にしないで。レベ上げついでだから」
あー、そういえば、僕はあの頃、レベルを上げたくて、PKをしてたんだ。
って言っても、PKしてるやつをPK仕返したんだよね。
そのせいで、名前を覚えられたのさ。
っていうかそんだけ覚えられてるのに、パーティーには一度も誘ってもらえないのって!!
逆に参加しようと思っても「PKはしないんで」って拒否されたんだよ、僕!!
「ふむ……、実に興味深い。今回の事件といい、お主は実に正義感を持った正しき天使のようじゃ」
「いや、たまたまですよ。っていうかそろそろ行かないと」
PKしてるやつを倒したいんですけどー。
ゆっくりお話してる間にも、犠牲者は増えるんだよね。