第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「なんでだよ、もう!! あんなに強く結界張ったのに。余程強い実力者が手を貸したな!?」
「――え、どういうこと?」
「姉さんだけの結界じゃ、かなり弱いから、俺がもっと強い結界を貼り直したんだ。姉さんは忘れちゃっただろうけど、俺は小学生の頃から審神者をしてるから、下手な審神者以上の能力者だ」
ってなると、強い刀剣が弟の結界を破った……?
みっちゃんって、それくらい強い実力者だったんだ。
凄いなぁ、みっちゃん。
「刀剣の力じゃ、まず無理だ。これは、政府が手を貸してるな……?」
「まぁ、貸すのも無理ないんじゃない?」
「なんで? 結界が破られたら、姉さんの身が危なくなるよ。姉さんは、いくら刀剣と言えど、Lv1の初期の状態。逆に、相手はLv99の強者揃いだ。しかも、数だって多い」
うわぁ、衝撃の事実を知りたくなかった。
まさか、自分が一度も出撃したことがないなんて。
刀剣として、ゲーマーとしても恥ずかしい……。
「だって、その間無人の本丸になるんでしょ? 色々、不都合な点が出てくるんじゃないかなぁ……?」
「いや、その間あの本丸は、新米審神者の訓練場にするって政府と約束をした。だから、政府が手を貸すことが可笑しいんだ。姉さん、くれぐれも気をつけ……」
その瞬間、殴られたような強い衝撃を受けた。
その時、僕は、弟と会話をしながら、まったりくつろいでいた時だった。
完全に、気を抜いてたと思う。
そのせいで、その後、僕の記憶は途切れた。