第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「友達と合流したら連絡するから!」
泣き止んで、元気になったチルちゃんは、手を振って走っていく。
その後姿に、迷いはなさそうだ。
にしても、さっきの女の子ビースト(猫)さんが居て助かったよ。
「いち兄、乱の靴下頂戴?」
「はい、どうぞ」
へ……、いち……、兄……!?
驚いて後ろを向くと、いち兄と呼ばれたその人は、なんと女子更衣室に居る、さっきの女の子ビーストさん。
ちなみに、名前は名前。
可笑しい事を言ってるわけじゃない。
キャラクタネーム『名前』なんだ。
パッと見た乱ちゃんも、猫耳のビースト。
「あぁっ、もしかして主様!?」
「こ、こら。他人の空似かもしれないから」
苦笑して、宥めようとする名前さんこと一期一振。
なんていうか、凄いカオスな展開になってきた。
っていうか、なんで君たちがここに居るんだろう?
とりあえず、僕は頷く変わりに苦笑した。
だって、一期さんのネーミングセンスねぇ……。
ちなみに、乱ちゃんは乱となってる。
とりあえず、靴下靴下。
真っ白なレースのニーハイをチョイス。
鶴丸が好きそうな格好になったなぁ、と改めて実感する。
「主様ー、主様ー!!」
「はいはい、どうしたの?」
「やっぱり、主様だー!!」
「ここでは、ゲーム名で呼んでね?」
僕に抱きついてきた乱ちゃんの頭を撫でる。
身長は変わらないものの、おっぱいがある感覚。
男の娘から女の子に進化したらしい。