第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「で、主。僕と鶴丸くんどっちが良かった?」
「もちろん、俺だよな?」
正直なところ、我に返ってしまった。
こんな若い子侍らせて、僕は何やってんだか?
「現実に帰った気がする。僕、結局何がしたいんだろう?」
弟に、どう足掻いても権利じゃ勝てないし。
憧れてたみっちゃんには、結局女の子扱い。
僕、結局何がしたいんだろう……?
ヤった後に後悔するって、このことなんだなぁーってしみじみと実感した。
「そんなこと、目の前にある物だけ見ればいいと思うぜ?」
膣を洗ってる最中の僕に、鶴丸が頭をぽんぽんと撫でた。
「人間より長い年月生きているが、どの人間だっていつもそのことを漠然と考えてたぞ。なんで、自分は自分の大切な人を守るために、別な人間を殺すんだろう……、って具合でな」
そういえば、みっちゃんも鶴丸も僕より長く生きてきた刀剣なんだ。
年を取らない刀剣って、いいよねぇ。
羨ましい。
「そうそう、それよりも、どうやったらもっとかっこ良く生きられるんだろう……、そんな感じで考えたほうが、スムーズに進むと、僕は思うな」
膣を洗い終わった僕の両脇には、みっちゃんと鶴丸というイケメンが並んでる。
でもふと考えた。
今の僕だから、この2人は好いてくれるんじゃないかって。
そうなると、仲良しでいられるのも今の間。
それを、実感すると少し寂しく感じた。