第8章 Battle8 白い子と熱を分け合う
「へぇ……?」
すっと目を細めると、鶴丸は僕の顎をくいっと上げる。
そして、ゆっくりと僕の頬を撫でる。
「――そんなに、光忠が好きか?」
「へ? な、なんでみっちゃん?」
「さっき、俺とヤろうって時に光忠の名前が出てきただろ?」
うわぁぁぁぁ、鶴丸クンってば、ご機嫌超ななめ。
ここで、変に嫉妬させたらどうなるかなんて、わかりきってる。
絶対お仕置きコースまっしぐら。
「だから、さっきも説明したじゃん!! 僕が猫の姿してた時、猫が好きみたいで、いつも以上にみっちゃんがべたべた触ってきたの!!」
「へぇ……?」
「――おい、止めといたほうが……」
「猫だからって、デリカシー無いから、耳元で囁いたりしてきたの!! それだけっ!!」
僕は、半分自棄になって言い切った。
「――へぇー、僕のこと、そんな風に思ってたんだ……?」
低い唸るような声が、また増えた。
――うっそぉ!?
滝の方を見ると、滝の水に濡れたであろうみっちゃんが、仁王立ちしてた。
みっちゃんの耳には狼の耳がついている。
そして、その尻尾の耳や毛は逆だっていて……、尻尾は高い位置で振られていた。
――ヤバイ、怒らせた。
「僕が、ただの猫好きで、なんとも思ってない。だから、鶴丸の物になっちゃうんだ?」
口元だけ笑い、目が笑ってないそんなみっちゃんが、ゆっくりゆっくりと距離を縮めてくる……。