第6章 東京遠征〜2〜 トラウマ
二人が付き合ってから一週間後、べにが家に帰るなり俺の部屋に来て、泣きながら言ったんです。
「ちか、別れちゃった」
って。
「ほんとはね?あたしのこと、気持ち悪いって思ってたんだって。」
「この赤い髪も、笑わない顔も、全部ぜんぶ、、、だいっきらいなんだって、、、」
「お母さんとの唯一の繋がりなのに、、、」
「ちか、ごめんね?応援してくれたのに、、、」
自分のほうが傷ついてるくせに俺に謝って。
謝らなきゃいけないのは、知ってて黙ってた俺なのに。
それからべには人間不信というか、男性恐怖症、、、みたいな感じになって、、、
自分が信じられる人しか仲良くしようとしないんです。
特に男の人に関しては。
言葉遣いは父子家庭で育ったんで、もともとあんな感じですけど、警戒心が強いのはそのせいです。
高校でのことは、よくわかりませんけど、、、
縁下がすべて話し終えると、みんな黙り込んでしまった。
縁「あっ、でも今までどおり接してやってください!あいつ同情されるの嫌いなんで。」
澤「わかった、すまなかったな。縁下。」
縁「いえ。俺もべには大事なんで」
優しく微笑む縁下は普段は厳しいものの、きっと朱莉のことが大切なのだろうと思った。