第24章 すれ違い
「なー朱莉、何をそんなに拗ねてんの?」
「拗ねてないよ…」
「…ったく。」
だいちが溜息をつきたくなるのも分かる。
あたしだってそう思うもん。
端っこに追い出されたあたしの席で、腕を組み突っ伏してるのを2時間続けてたら誰だってそう思うだろう。
結果的に言おう。
あたしは、多分嫉妬してるんだ。
道宮さん相手に。
道宮さんは何も悪くない。こんなあたしに挨拶してくれて、気を遣ってくれた。
明るくて、可愛くて、綺麗な黒髪で、みんなから信頼されてて、きっとトラウマとかもない。
そんな彼女が羨ましい。
だいちの隣に並んでお似合いだと言われる彼女が羨ましい。
一回そう思ったら、ドロドロとした感情が体の底から湧いてきた気がして苦しくなった。
そんな所を見せたくなかった。
見せちゃいけないと思った。
だから今頑張って閉じ込めてるんだ。
「なぁ、いいかげん教えてくれ。一体どうしたんだ。そうしてるだけじゃ分かんないだろ?」
言えない。言っちゃいけない。
「何でもない…」
そう返すのが、精一杯。