第23章 喧嘩するほど?
「ごめん。」
教室に入る直前、ポツリと謝罪の言葉がだいちの口から発せられた。
「俺が悪かった。」
さっきまであんなに怒っていたはずなのに、どうしてこんなに落ち込んでいるのか。
なんだ、あれか?コタのしょぼくれモードか?
「俺が悪かったから、他の奴のとこ行くなよ。せめて野郎じゃなくて清水とか谷地さんにしてくれ。」
なんだそういう事か。
心移りするかもってか。
生憎あたしはあのひげチョコエースに恋愛的な意味での好きはないんだよね。
まぁとにかく、しょぼくれただいちが可愛いから許してあげるか。
「許してあげないこともない。」
「有り難き幸せ。」
妙に堅苦しい返答をしてきただいちが面白くて、思わず笑ってしまった。
最近ちゃんと笑えることが増えたなーって思うのは、多分気のせいじゃないと思う。
だいちのおかげだなんて恥ずかしいから絶対言わないけど。