第23章 喧嘩するほど?
ー菅原ー
8月末の合宿を終え、クラスの友達と廊下の窓辺でくっちゃべる昼休み。
朱莉は清水とマネの仕事をしに行ったし、大地は職員室に呼ばれた。
旭は委員会、らしい。
必然的に俺はぼっちとなった。
じゅーっ、とパックのジュースを飲みながらクラスのヤツと下を眺めていると、風になびく赤い髪が見えた。
「お、朱莉だ。仕事終わったんかな?」
「紅林ねぇーアレの何処がいいのか分かんね」
「気取ってる感じしてよー。見た目はまぁ悪くねぇって感じだな」
すげー腹が立ったから「だよなー!」と笑う野郎の1人に肘鉄をお見舞いしてやった。
「あかりー!」
突然朱莉を呼ぶ声が聞こえて、視線を向けると職員室から帰ってきたらしい大地だった。
呼ばれた朱莉はゆっくり上を向き、大地を見つけるなり“花が咲いた”と言う表現がピッタリなほど明るく笑った。
あーくそ、大地ずりぃ…。
朱莉にあんな顔させられんの大地だけなんだよなぁ…。
「…アリだわ。」
「今の紅林なら付き合える…。」
手の平を返したように口々に呟くのを聞いて、当たり前だろ、と肩パンしておいた。
少しずつ、朱莉に対する周囲の考えに変化が訪れ始めていた。