第20章 コイビト
「あ、」
澤「いうえお?」
「そうじゃなくて、、、だいちなんかスガみたいになってきた」
澤「、、、それはなんと言っていいか、、、。」
それは置いといて、と前置きし「手を出して」と朱莉は言った。
澤「手?」
戸惑いながらも差し出すと、俺よりも一回り小さな手をそっと重ねた。
「こうやって歩いてるカップル見かけるなーと思って」
目線を逸らしながらそう言った朱莉はサイドの髪を耳にかけていた。
澤(これは照れてるときのクセ、、、)
清水や谷地さん、スガに言われて最近気づいた事だった。
澤「自分でやっといて照れるなよ。」
「照れてない。」
澤「照れてる」
「照れてない。」
澤「照れて「照れてない」」
「もういい。走って帰りますさようなら。」
澤「おいおい、待てよ。走るな」
からかい過ぎたのか、せっかく繋いだ手を解き走り出そうとした所をギリギリ掴んだ。
「じゃあ早歩きで帰るさようなら。」
澤「そうじゃなくて!」
忘れてた。コイツは1回こじらせるとやばいタイプだった。
澤「一緒に帰ろう?な?」
掴んだ手を放さないように、少しだけ力を入れて彼女からの返事を待った。