第20章 コイビト
ー縁下ー
「だいちと付き合うことになったよ」
扉の向こうから聞こえてくる言葉。
こうなることは分かってた。分かってた癖に
胸の奥がズキズキと痛みを上げる。
隠すつもりだった。言わないつもりだった。
『べにが好き』だなんて。
家族だからって押し込めてた気持ち。
誰にも知られずに墓場まで持ってくつもりだったのに、部員達に知られてしまった。
きっとお前も知ったんだろ?
なら、どの面下げてお前と会えばいい?
疑問ばかり浮かんで答えが見つからない。
苦しい。
「あたし今、すごく幸せだよ。」
わかるよ。お前の声聞けば。
あの事があってから一番嬉しそうな声してるよ。
お前が幸せなら俺はそれで___
よく、ねぇよ。
俺が幸せにしたかった。
俺が笑わせてやりたかった。
お前の一番近くに居たかった。
お前の、、、恋人になりたかった。