第19章 二人の始まり
残り僅かとなったかき氷を飲むように流し込み、カップを近くにあったゴミ箱にポスンと捨てた。
「そろそろみんなのこと探しに行こ?」
そう言って及川の前に立てば、まだだよ、と再びベンチに座らされた。
及「足、下駄で痛めたでしょ?」
まるで跪く様にして及川があたしの前に座り、優しい手つきで下駄をスッと脱がせた。
「おいか、、、」
及「やっぱり。歩き方変だったもんね。突き飛ばされた時になっちゃったのかな。」
壊れ物を扱うみたいに優しくそっと触れる及川の手からじんわり熱が伝わって、一旦下がった体温が上がっていくような気がした。
及「絆創膏貼ってあげるから少し待ってて。」
おふざけしている時よりも少し低い、真剣な声。聞き慣れないけど、嫌いじゃない。
慣れた手つきでキズに絆創膏を貼ると、もう片方も同じように作業を繰り返した。
及「、、、出来た。」
下から見上げられるように微笑まれたら、なんだかそれ以上見たらいけない気がして髪の毛をグシャグシャに撫で回した。
及「ちょっべちにゃん!?」
「うるさい。」
理不尽!なんて言いながら隣に座り直した及川は雲一つ無い星空を見上げながらふぅーっと息を吐き、ゆっくり口を開いた。
及「今からべにちゃんにとって嫌な話、してもいい?」
「嫌な話なら聞きたくないかな」
そう返せば、まるで答えが分かっていたかのようにそれでも聞いて?と言ってきた。
あたしに断る術は無かった。