第18章 夏の終わり
8月も終わりに近いというのに、外のセミたちは狂っているのではと思うほどジージーと鳴いている。
「だいち暑いぃー」
澤「俺だって暑い。」
「アイス、、、」
澤「練習終わったらな」
そう今は練習の真っ最中なのだ。
「約束だかんね!!」
そう言って再びパタパタとマネ業へと戻っていった。
一つに纏められた赤い髪がゆらゆらと揺れていて思わず釘付けになった。
菅「だーいち!朱莉のこと見過ぎだぞ!」
澤「んなわけ無いだろ!?」
菅「慌てすぎて説得力皆無なんだけど。」
澤「、、、」
日に日に大きくなるこの気持ちをどうすればいいのか、俺には全く分からなかった。
心の隅にある部屋に気持ちを押し込めて鍵をかけてしまおうかと思ったこともあったけれど、閉じ込めるにはあまりにも大きくなりすぎてしまった。
この気持ちがいつか朱莉を傷つけてしまわないか、それだけが心配だった。
烏「んじゃー今日はこれで終わりな。」
「「「ありがとうございました!!」」」
「面倒だから自主練で怪我すんなよー」
縁「べにお前馬鹿か。なんの為にお前いるんだよ。」
「わざわざ怪我しに行くようなアホの面倒は見たくないって意味だっつーの」
縁「ったくお前ってやつは、、、」
うるさーい、と縁下とじゃれ合う朱莉。
菅「だーいち。羨ましいなら見てないで混ざってきなよ」
澤「!? う、羨ましいなんて思ってない!」
菅「おもちゃ欲しがる子供みたいな目してた癖によく言うよ。」
澤「う"っ、、、」
田「影山ー、日向ー!水浴びすっかー?」
日「うわぁあ!やります!!」
影「ウッス」
菅「騒ぎすぎるなよー!」
「「分かってまーす!!」」
菅「ったく、いつまで経っても子供だなー、、、って、朱莉どこ行った?」
澤「朱莉ならさっきまでそこで縁下と、、、」
いくら見回してもそこに朱莉はいなくて
菅「まっ、まさかだよな〜、、、」
澤「そうそう、流石に混ざるなんてしないよな〜、、、」
どうやら嫌な予感というものは当たるらしい。