第13章 黒尾
「あのね、昨日はちゃんとクロたちのマネージャー出来なかったから今日も音駒でやっていい?って聞こうとしてたの」
出会った頃よりずっと優しくなった言葉遣いに心が暖かくなる。
自分から他人に歩み寄っていけるようになって来たのかと思うと嬉しい反面、寂しくも思う。
澤「いいぞ。黒尾には俺から言っておこうか?」
「ううん。自分で言う。」
黒「俺が何だって?」
後ろからヌルッと現れた黒尾にビックリした朱莉はサッと俺の後に隠れた。
小動物か。
黒「そんな驚かなくてもいいだろー。んで?俺になにか用?」
けたけた笑いながらそう言うと朱莉はさっき俺に言ったことと同じ事を説明した。
黒「昨日のは具合悪かったのに気付けなかった俺たちも悪いんだから気にしなくてもいいんだけどな」
「役に立てなかった事に変わりはないから」
実に朱莉らしいと思った。
面倒くさがりの癖に義理堅くてそれをしっかり返そうとする。
黒「いーのか?澤村」
澤「朱莉がいいなら俺は文句は言わないさ。」
黒「よゆーそうでムカつくわー」
菅「何でもいいけどお前ら飯の時間無くなるぞー?」
スガに声をかけられ時計を見ると練習の時間まで15分を切っていた。
澤「飯食うか。」
黒「だな。」
余裕、、、ね。今の俺に余裕なんてあるのか?