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互(銀魂:桂夢)

第1章 互


「本当は、私の気持ちを知ってるくせに」

バカな女だと、桂は思った。正直、彼女の想いにはずっと前から気づいていた。村塾で恩師から教養を与えられていた時代から、美穂の桂に対する特別な心は知っていた。ただ、それに向き合う事は出来なかった。志の高い目標を常に抱いていたのも原因の一つだが、桂は己が恋沙汰には不向きな人間であると自覚している。

_____そんな求められ方、嫌よ_____

彼女から言われた返事の真意も、本当は知っていた。けれど、女としての幸せを桂に求められても、彼にはそれを実現させるだけの器量がない。よって、わざと突き放す事しか出来なかった。まあ、正面から向き合わなかった結果が、彼女の真選組入隊へと繋がってしまったのは申し訳ないと感じている。

どこか一般的な女性とはズレている思考を持つ彼女にとって、愛する者と一緒になれない事実は受け入れがたいのだろう。愛されないのなら殺したい、もしくは殺されたいとでも思ってしまったのかもしれない。いずれにしろ、美穂の狂気的な思考を鎮める事はもう無理だ。ならば、せめてものケジメとして刃を交えるのも良いかもしれない。決着が付けずに敵の関係を続けるも良し。結局はお互いの我儘から始まった喧嘩のようなものだ。譲れぬものがあるのなら、力づくで手に入れれば良い。二人を止める師はもう、この世にはいないのだから。

そんな言い訳と共に、桂は美穂を武人として斬り殺す覚悟で刀を抜いた。
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