第34章 林檎ちゃん
「誇って良いからね。
俺をこんなに夢中にさせてること」
そう言うなり智先輩の顔が近づいて来る。
チュッ…と、温もりを持った何かが唇に一瞬触れた。
「…え?」
気がつくと目の前には智先輩の顔が。
「「「あっ⁉︎」」」
「へ?」
皆が驚く意味が分からず、首を傾げる。
「いただき♪」
と、私の唇に人差し指を当て舌を出す。
「あっ…」
ここまで来て、ようやく先程触れた温もりが智先輩の唇であることに気づく。
「ちょっ、大野さん‼︎
不意打ち!」
「あーぁ、そういうことするか」
「智くん…抜け駆け」
「なんでチューすんの⁉︎」
「え、なんでって…。
我慢出来なかったから」
「子供か!」
我を忘れてツッコミを入れる和先輩。
「だってもう充分我慢したじゃん。
ちょっとくらい良いでしょ?」
「良くねーわ!」