第33章 休息
「まぁくーん」
トテトテ、と走って来るニノ。
「和!走ったら…」
ドテッ。
案の定転んだ。
「い、痛…」
「大丈夫?和」
「痛いよぉ…まぁくん」
和の顔が、痛みに歪む。
「あらあら和也くん、大丈夫?」
「せんせー!あのね?和がっ…」
「…大丈夫っ」
グイッ、と服の袖で涙を拭う和。
「センセ、僕強いの。大丈夫なの」
「偉いわねぇ、和也くんは」
そう…これがニノの初恋相手。
当時の幼稚園の先生。
和は凄く懐いて…いや、惚れていた。
「和也くん、あっちで手当てしよっか」
「センセがしてくれるなら、行く」
「良いわよ、特別ね?」
「あっ、せんせー。
俺も心配だから…」
「雅紀くんは、ちょっと待っててくれるかな?」
「でも…」
チラリ、と和を見る。
「まぁくん、センセと2人きり」
結局和のキラキラした目には勝てず、俺が折れた。
…あんなことになるなら、意地でも着いて行くんだった。
例え、和に嫌われたとしても。