pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第11章 2年間
「今日も俺の勝ちだったな」
「…ゾロ」
その夜、の部屋を酒瓶を持ったゾロが訪れてきた。
午後の手合わせはゾロの勝利。
「今日のお前、雑念が多かったろ」
「…………そう、なのかも知れないです」
「それじゃヒヒにも勝てねェな」
「………」
「何を迷ってる」
グビリと音を立てゾロは酒瓶傾けて飲む。
「…進む道が、見えてこないんです」
あれから1年、強くなりたいとその一心でここまで来た。
この先、どう進むのが正解なのだろう。
「だったら…」
「いえ…この答えは自分で出します、導かれるだけなら前と変わらないから」
「……」
「お風呂に行ってきます!明日は負けないようにしますから覚悟しといて下さいね」
そう言い残しては部屋を後にした。
の部屋に一人残されたゾロは閉められた扉を見て眉間のシワを深くする。
だったら俺たちと来れば良い。
さっき言おうとしてに遮られた言葉だった。
もっと頼って欲しいのに、アイツはそれをしない。
まだ二十歳の女なんだ。
弱い所だってある筈なのにそれを見せない。
1年も、一緒にいるのに。
「チッ…」
エースには、そんな秘められた弱さを見せていたのだろうか。
ぼんやりとそんな事を考えていたら苛立ちが込み上げてきた。
酒瓶を真上にして最後の一滴を飲み干す。
このままここでを待つわけにも行かず、ゾロは主のいない部屋を出たのだった。
何となくモヤモヤとした気持ちが残る。
に対しての自分の見方の変化に気付いてはいるものの、それを言葉にするほどゾロはまだ素直になることは出来ないでいた。