pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第11章 2年間
数日後、ゾロとの怪我も落ち着いてきた所で鍛練は始まった。
ミホークがゾロに告げた事はやはり覇気の事だった。
「刀を折られた事はあるか?」
「まァ、何度かな…おめェにも折られたよ!!」
「覇気を纏えば同じ刀でも折れる事はなかった」
「!?」
ワイングラスを口に運びながらミホークはさらりと言ってのけた。
「刃毀れすら己の恥と思え、全ての刀剣は黒刀に成り得る」
もミホークの話を興味深く聞いていた。
そしてそっと千鳥に触れる。
「それを体得するまで禁酒だ」
「えーーー!!?」
ミホークの言葉にゾロは驚いて叫ぶ。
禁酒がよほど堪えるのだろうか、ゾロは肩を落として項垂れていた。
「お前はどうする?」
「私は…」
ミホークはワインを飲みながらに問う。
要するにゾロと同じ鍛練を積むかどうかだ。
は少し考えた後、首を横に振った。
「私は私の鍛練を積みます、ゾロと同じ事をしても遠回りになるだけだと思いますから」
「…そうか」
ミホークはその返答に満足そうに頷いた。
自分に合った鍛え方を見出だせた者の成長は早い。
言葉には出さないがはそれがわかっているのだとミホークは確信した。
だとすればこの時点ではゾロよりも1つ前へ出た事になる。
「ロロノアと戦ったヒヒ達の傷も癒えた頃だろう、俺はしばらくコイツに付き合う…お前は森を使え」
「はい、行ってきます」
「あっ!私も行く!」
森へと駆け出したを追ってベローナもふわりと飛び立った。
「ヒヒと修業させんのか?」
「奴等はヒューマンドリルと言ってな…とても知能が高い、戦ったお前もわかるだろうが相手の技もすぐに習得し更に強くなる」
「確かに……」
「何日もお前の相手をしてきたヒヒだ、の鍛練には丁度良いだろう」
ワインの最後の一口を飲み切るとミホークはゾロへと向き直り鋭い眼差しを送る。
「さぁ…俺達も始めるぞ」
「…!!」
空気が変わるのを感じた。
威圧されない様にゾロも己の集中を高めた。
(やっぱコイツ…強ェ…!!)
肌で感じる実力の差。
まだまだ追い付けていない事実にショックを受けるよりも追い付きたいと言う思いが溢れ出す。
自然と笑みが溢れた。