pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第10章 クライガナ島、再び
「覇気に、慣らす……?」
ヒヒ達はいつの間にか姿を消していた。
森を抜けるには今が最大の好機。
「クソ…!!!」
だがゾロはミホークの後について城へ向かった。
すぐに海に出たいが、の容態も気になる。
外に出る前にが巻いてくれた包帯はすでにボロボロになったしまっていた。
「…入るぞ」
「どうぞ」
城に戻りを寝かせたと言う部屋を訪れたゾロは、思ったよりも元気そうな声が返ってきた事に一先ず安心した。
「もう起きて良いのか」
「えぇ、もう大丈夫です」
「…そうか」
ゾロは窓際にもたれ掛かるようにして立つ。
窓の外はすでに真っ暗だ。
ミホークはもうすぐ日暮れと言っていたがこれではいつ日暮れなのかもわかったものじゃない。
「鷹の目とお前は…どんな関係だ」
「え…?」
ゾロの質問には驚いたような顔を見せた。
どんな関係と言われても。
どんな関係なんだろう?
は考えた挙げ句、こう答えた。
「し…しょう……?に、なるのかもしれません…今日からですが」
「…師匠?」
返ってきた答えに今度はゾロが驚く。
ミホークが師匠。
が弟子。
全くもってしっくり来ない。
「まずは覇気を使える様にならないと、だそうです」
「それでか…」
慣らすと言っていたミホークの言葉の意味がゾロの頭の中で繋がった。
それから話を聞けばは自ら進んでミホークに着いてきたと言う。
そして、白ひげ海賊団のクルー達にはとても感謝しているとも話していた。
「背中を、押してくれたんです」
左腕の刺青に指で触れながらは柔らかく微笑んだ。
「そうか…」
「ところで…ゾロ、さんは何故此処に……?」
「ルフィに聞いてねェのか?シャボンディ諸島で色々あってよ…此処に飛ばされてきた」
頂上戦争の起こる前のシャボンディ諸島での忌まわしい出来事をゾロは言葉少なくに聞かせた。
思い出しても腹が立つ。
自分の無力さ、弱さ。
あんな思いはもうゴメンだ。
「じゃあゾロさんはバーソロミュー・クマによって此処に…」
「まァな…つかそのゾロさんてのヤメロ」
「でも」
「ゾロでいい」
「……わかりました」