pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第10章 クライガナ島、再び
「…ベローナは?」
「泣き疲れて眠った、なんだアレは」
「私の友達です、何故泣いて…?」
「モリアが戦場で死んだ」
「え?」
ミホークの言葉には記憶を辿った。
自分が知る限り、モリアは戦争の中で大した致命傷など負っていなかったはず。
「俺も疑問を感じている」
「戦争後に…消された?」
「その線が濃いだろう、誰がやったかはわからんが」
海軍が七武海を消す事はまず有り得ない。
そして海賊達も白ひげやエースを失ってもう戦意などなかったはずだ。
「一体何が…」
「さぁな、それより構えろ」
「!」
「始めるぞ」
ベローナの様子が気になりつつもは頭を切り換えて千鳥を抜いた。
その頃城ではゾロは一人の言った言葉を思い出していた。
『自分で決めた道を歩く為です』
余程の覚悟を持って決めたのだと言う事が伝わってきた。
そういう目をしていた。
「すぐにでもルフィの所に行かなきゃなんねェってのに…クソ…!」
刀を持って立ち上がる。
「どっちにしろあのヒヒに勝てなきゃ島からは出られねェ…やるか」
新聞で戦争の記事を見た時から島を出ようとしているゾロだったが、ヒューマンドリルの住む森を越えられた事はまだ一度もなかった。
只でさえ勝てずにいるのにヒヒ達は日を増す毎に強くなっていく。
それでもゾロは立ち向かう事を諦めなかった。
全ては約束の地、シャボンディ諸島に向かうため。
「へっ…相変わらずヒヒのくせに物騒な格好してんなァ」
ゾロが森へ近付くとすぐにヒヒの群れがゾロを取り囲む。
「ウホッ!ウホッ!!」
「今日こそ…そこを通してもらう!!」
ゾロとヒヒが戦い始めてしばらく…先に膝をついたのはやはりゾロの方だった。
「こいつらは手強いぞ、ロロノア」
「…鷹の目!!!ぐ…っ!」
「もう日暮れだ、城へ来い…こいつらは俺の城には近付かん」
「……アイツは…はどうした?」
医務室に来たミホークに連れられては外へ出たはず。
「気を失って城に運んだ」
「なっ…!?何しやがったんだてめェ!!」
「覇気に当て続けた…慣らす為にな」
そこまで伝えるとミホークは踵を返し城へと歩き出した。