pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第2章 アラバスタ
「あれが…話に聞く力…?!」
「たしぎ曽長!!あれは一体…!?」
たしぎは刀を構え他の海兵達に注意を促した。
「…気を付けて下さい、彼女は海の悪魔の化身…」
「う、
海の悪魔の化身…?」
「悪魔の実の能力はその実を食べた者が得られる力ですが…彼女は違います、彼女は悪魔の実の能力者と『何らかの接触』をする事で一時的にその能力を得られる」
たしぎの話に海兵達は驚きを隠せずにいた。
「そ、そんな事が…あり得るのか…」
「じゃあ今の火柱は…」
「えぇ、恐らく火拳のメラメラの実です…」
その時、たしぎ達の上空を炎が覆った。
驚いて前方に視線を移すと、待ちくたびれましたと言わんばかりの顔でが腕を組んで立っていた。
「説明はもう宜しいですか」
口調は柔らかいものの、視線は恐ろしく鋭い。
指先を弾く度にの髪の色と同じ、真っ赤な炎が舞い上がっていた。
その指先を真っ直ぐ前に突き出して狙いを定める。
「火銃!」
の指先から放たれた火の玉は物凄い速さで海兵に襲い掛かる。
「ぐぁぁぁ!!」
「あちィィィ!!!」
「くっ……!」
刀で弾いていたたしぎも厳しい状況に追い込まれていった。
「チッ……退け!!」
そんな部下の様子にスモーカーは一時撤退を命じる。
いくら二人とは言え、白ひげ海賊団二番隊隊長と副隊長。
ましてや自然の能力者が『二人』になってしまった今、何の対策もなしに勝てるはずがないのだ。
「賢明な判断です」
は撤退する海軍を見ながらフッと息を掛け、指先の炎を消した。
「」
名前を呼ぶとエースはガシッとの肩を組む。
その横顔は何処か不満そうに見えた。
「何ですか、隊長」
「お前アノ時、もうちょっとこう…雰囲気とかあんだろ…」
「は…?」
いきなり何を言い出したかと思えば。
「あんな事務的なキスがあるか!」
エースが言っているのはに能力の受け渡しをした時の事。
受け渡しは能力者とのキスによって成立していた。
受け渡しの為とは言え、エースとは男女である。
もっと恥じらうとか、名残惜しむとかそう言った感情をエースはに求めたいのだ。