pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第5章 クライガナ島
(でもこの瓦礫を利用すれば…!)
の目はヒヒ達の上にある不安定な瓦礫を捉えていた。
勢い良く飛び跳ねてナイフを瓦礫に向かって投げ付ける。
ナイフは瓦礫の亀裂に刺さりその亀裂を更に大きな物にした。
(よし、これで…!)
亀裂からパラパラと小さな小石が落ち始めたと思った瞬間、大きな音を立てて瓦礫が崩れ始める。
「ウホォ…?!!」
ヒヒ達は突然の瓦礫崩壊に対応しようとして落ちる大きな瓦礫を受け止め投げ飛ばす。
「あんな大きな物まで投げれるの?!」
これで勝負はついたと思っていたはまた新たな策を練らねばならない。
なんと厄介なヒヒ達だろう。
「キャッキャ…ッ!!」
その時だった、近くで甲高い鳴き声が聞こえた。
その声はの元までハッキリと届いていた。
「……あれは!」
先程ヒヒが空高く飛ばした瓦礫が落下してくるのが見えた。
落下地点を見たは目を見開いた。
「……子どものヒヒ!?」
気付くと同時に身体は子どものヒヒに向かって走り出していた。
このままでは瓦礫の下敷きになってあの子どもは死んでしまう。
あの子はこの戦いに関係ない。
(間に合って…!)
ドォンと言う大きな音と砂煙が辺りを包む。
「ウホ!ウホォ!!」
「キャホッ!キャホッ!」
武装したヒヒ達はが自ら自滅した、そう思っていた。
けれど、砂煙がおさまった後その考えは一変する。
「キャ……?」
「…怪我、してない?」
子どものヒヒを抱きかかえるようしては自分のその背で瓦礫を受け止めた。
肩から出血していたがは表情を変えず子どものヒヒに笑い掛ける。
の腕の中に子どもがいる事に気付いたヒヒ達はを取り囲むようにして威嚇し始めた。
「まいったな…」
肩を押さえつつもは構える。
「キキーッ!!キャ!キャホッ!キャホッ!」
「何…?」
の腕から飛び出した子どものヒヒは大人のヒヒ達の前に立ち塞がり小さな体を大きく見せて必死に威嚇を止めようとしていた。
ヒヒの言葉はわからない、けれどにはまるで自分を庇っているように見えたのだ。