pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第4章 パナロ島
が気が付いた時にはパナロ島から人の気配が消えていた。
「痛……」
エースに受けた手刀の痛みは今も首に残っていた。
どれくらい飛ばされて来たのだろう。
隊長は、黒ひげは、どうなったのだろう。
街の人達も島外へ避難してしまい確認しようにも人がいない。
「隊長…」
急に不安にかられ、は遠くに見える瓦礫の山の方へと走った。
マントから香る彼の匂い。
気持ちばかりが焦る。
「…………」
戦闘があった場所一帯は建物も全て瓦礫と化していて何も残っていなかった。
黒ひげ海賊団の姿もエースの姿も、ない。
「隊長…?」
呼び掛けてみても返事はない。
まさか。まさか。まさか。
最悪の結末が頭を過る。
ふと何かが目に入った。
「あれは…!」
走って拾い上げると、それは間違いなくエースのテンガローハット。
砂埃にまみれた帽子をはそっと払う。
「………」
考えられる可能性は1つ。
ここに誰も残っていないと言う事はエースは奴らに連れていかれたと言う事。
奴らは『麦わらのルフィを政府への手土産にする』と言っていた。
エースはルフィの代わりに手土産にされたと考えるのが妥当だ。
「っ…!」
の心は悔しさでいっぱいになる。
私は何の為にここにいるのか。
隊長を死ぬ気で守ると誓ったのに!
親父様との約束も守れず、隊長の役にも立てず何が副隊長だ…!!
強く強く握り締めた拳からはうっすらと血が滲んでいた。
「………」
でも今は自分の不甲斐なさを責めている場合じゃない。
隊長の発見、救出が最優先だ。
ボートに戻りエンジンをかける。
の手にはエースの帽子が握られていた。
(向かう先はマリンフォード…黒ひげは隊長をそこへ連れていくはず)
波を切るようにしてボートは走る。
スピードは最高速度。
ザバァァァン!!!
「!?」
突如目の前の海が盛り上がり、大型の海獣が姿を現した。
「グォォォォッ!!」
「急いでるの、邪魔しないで」
に向けて大きな尾が降り下ろされた。
ボートから飛び跳ねてそれを回避する。
は手を後ろに引き構える。
「火拳!!」
炎が海獣に向かって放たれる。
「グ…グォォォォ!!!!」