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pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)

第3章 過去



「…もう寝てなくて良いのかよい」

「……はい」


何処と無く警戒心を帯びたの気配をマルコは感じ取る。

「ここは白ひげ海賊団の海賊船、モビー・ディック号の上だよい」

「……白ひげ…!」


白ひげの名には驚いた表情を見せた。

「俺ァ、マルコ…お前の事は親父から大体の事ァ聞いた」

「………私の、事」

は自分の手を見つめた。
あの時の感覚は今はもうない。
ただ、頭の中に流れてきた能力の事は忘れていない。



「…帰る場所があるなら送り届けるよい」

「帰る場所……」


今、彼女を逃がせばいずれ強敵としてまた目の前に現れるかもしれない。
でもマルコの目にはがとても危険因子には見えなかった。
だから彼女に道を与えたのだ。


ただ、今のには帰る場所など何処にもない。
喉元まで出かかったその事実をはグッと飲み込んだ。


「…近くの島で降ろして頂ければそれで構いません、自力で帰ります」


何処へ?
自問自答の中、は感情を押し殺した。


「…わかったよい、お前名前は」

「……」

小さく呟いたその名を聞き届けるとマルコは部屋を後にした。
マルコの出ていった扉を暫く見つめていただが扉とは真逆の方向から聞こえた大きな音に驚いて振り返る。


「…誰?」


音のした方を見ると一人の男が窓辺に腰掛けていた。
男は被っているテンガローハットを被り直すとに向かって一言言い放った。



「お前、帰る場所あんのか?」



何故見抜かれたのだろう。
の掌にはじんわりと汗が滲む。


「……っ」

返す言葉は何一つ出て来なかった。


「ないんだろ」

「……どうして?」

「お前の顔見りゃわかる、一人ぼっちの顔だ。昔の俺と同じ顔だ」

「………」

「俺ァ、エース。ポートガス・D・エース」

「………エース…」


ニカッと歯を見せて笑うその男をは眩しいと感じた。
太陽のようだ、とも。





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