第1章 平和な日々の終わり
こいしは、問題集を開き勉強に集中した。
試験と言っても本当の試験ではなく、母の望から出題される問題でこいしは口頭試問で行われるのだが不合格に終わっている。
望の試験は、年に1回行われるのだ。
「あら、古森さんお勉強中?」
一人の女子大生がこいしに声を掛けて来た。
「え? うんまあね・・。」
こいしが呟いた。
「そう、しかし大変ねえ。」
女子大生が呟いた。
「それで、どうしたの?」
こいしが女子大生に。
「貴方、渡辺とにらみ会っているでしょ。」
女子大生がこいしに。
「それほど、睨み合っている訳じゃないんだけど・・。」
女子大生にこいしが呟いた。
「そうなんだ。」
女子大生が呟いた。
「それで、どうかしたの?」
こいしが女子大生に。
「対した事でははないんだけれど、噂では小森さんが渡辺さんに嫉妬をして、悪い噂を流している聞いたから。」
女子大生がこいしに。
「誰が、そのような噂を?」
こいしが女子大生に尋ねた。
「噂の出所は、私も知らない。」
女子大生が呟いた。
「そうなんだ、まああくまで噂は噂だから。」
こいしが呟いた。
「まあ、そうなんだけれどね。」
女子大生は呟き、自販機へと足を運んだ。
「いったい、なんなのかしら・・」
こいしは呟き、問題集に視線を向けた。
「ねえねえ、あの子でしょ? 古森こいしって」
「ええ、そうよ。」
二人の女子大生がこいしをみて呟きあっていた。
キーンコーンカーンコーン・・
チャイムが鳴った。
このチャイムは、12時を指した合図である。
「あと、1時間半か。」
こいしは呟いた。
こいしの次の講義は1時半からである。
こいしは再び、問題集に視線を向けた。
「あまり、根を詰めるのも無意味ね。」
こいしは呟き、問題集を鞄の中に収めた。