第3章 Bloody dragon
コアラが店に着いたときすでにエスメラルダの姿はなかった。
「いないわね。」
コアラは店員に聞いてみた。
「ここに赤い髪のお客さんが来なかった?」
「えぇ、いらっしゃいましたよ。ちょうど3分前に店をでていかれましたが。」
店員は答えた。
「そう。ありがと。」
コアラはすぐに電伝虫でサボに伝える。
「3分前に出て行ったみたい。どうする?」
サボはしまったと思いながら
「遺跡に向かったに違いねぇ。俺が遺跡へ向かう!お前は遺跡の出入り口に数人連れて待機してろ!」
サボは通信を切るとリネン遺跡へと走る。
鉄パイプを持って。
「くっそ、先を越されたか・・・。」
エスメラルダは遺跡への道をひたすら歩く。
(ラファティの間違った歴史を残してはいけない。私は決して世界を滅ぼしたりなどしない。)
やがて道が開けてくるのが分かった。
「そろそろ着くか・・・。」
エスメラルダはマントの前を開きフードを外す。
腰にあるのは愛刀『夜桜』だ。
リネン遺跡が見えてきた。
エスメラルダはそのまま中央の祭壇へ向かう。
そして近くの伝記の記されている碑石を見る。
読み終わると刀を取り出し覇気を込める。
「これでいいのだ。」
そして夜桜を碑石に向かって振り下ろした。
だが・・・。
ガツン!
鉄パイプがそれを制した。
「何!?」
そこにはシルクハットをかぶった男がいた。
(私の覇気を防いだ・・・?)
「何のようだ。何故邪魔をする?」
エスメラルダは刀を引く。
「これは貴重な遺跡だ、傷つけんじゃねぇ。」
シルクハットの男は言う。
「政府の人間か?それとも海兵か?」
「どちらでもない。」
エスメラルダは刀を鞘にしまう。
「ならば海賊か?」
「違うな。」
「では何者だ?」
エスメラルダは一歩下がる。
「俺は革命軍参謀総長のサボだ。」