第8章 Love
微風がエスメラルダの体に入ろうとしている。
「来るな微風!!」
_オマエハワタシヲダマシタ_
「貴様が裏切ったんだ!!」
_コンナカラダヤクニタタナカッタ_
サボは困惑している。
エスメラルダが2人いる。
さっきまで自分の腕の中にいたエスメラルダとは少し違うがほとんど同じだった。
違うのは髪色と目の色、そして雰囲気も。
もう一人のほうは髪はシルバーブルー、目の色は水で薄めたような赤。
エスメラルダとは正反対といっても過言ではない。
_ヤハリオマエノカラダガイイ_
「これは渡さない!!私の体だ!!」
_オマエハワタシヲトメラレナカッタ_
「・・・言うな・・・・・。」
__オマエハヒンシノオトウトヲミゴロシニシタ_
「言うなぁぁ!!」
エスメラルダは微風の胸倉を掴み外へ投げ飛ばした。
_オマエガワタシヲセイギョデキナカッタカラシンダ_
「・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・・・。」
_ワタシハハハニモチチニモアイサレナカッタ_
こいつは私と同じ記憶を持っている!?
「違う・・・愛されなかったのは私だ。」
_オマエ?_
「そうだ。お前を制御できなかった私は要らない存在だった。」
_オマエガワルイノカ?_
「微風私の体はやれないが私がお前の力を使うことはできる。」
微風は赤いその目をエスメラルダに向ける。
_ワタシハオマエニツカワレルヨウナヤツジャナイ_
「戻れ。」
_モドラナイ_
やがて微風の視線はエスメラルダの後ろへ注がれる。
視線の先にはサボがいた。
_オマエヲコロセバアイハキエル_
「何する気だ・・・!?」
_コロス_
「な・やめろぉ!!」
微風は物凄い速さでサボに向かっていく。
サボは地面に押さえ込まれた。
「・・・ぐぅ・・・・・。」
『愛を知れば影は消える』
「え・・・。」
かつて母が残した言葉が再び頭に響く。
_オマエハアイツヲアイシテシマッタ_
黒い槍がサボを取り囲む。
愛で影が消える・・・。
「フッ・・・そういうことか。」
_シネバイイ_
「死ぬのはお前だ!微風。」
_モウオソイミテイロコノザンゲキヲ_
・・・。
_??_
微風の体が薄くなっていく。
_ナゼダ・・・_