第17章 One more
そして数日後。
サボのみが遠征に行くことになった。
「なんでだよぉ!!」
「サボ君しかたないでしょ!」
コアラが言う。
「サボ、行ってこい。」
「はぁ。」
サボは案の定ガッカリしている。
「エスメラルダは何で来ねぇんだよ!」
「メラルちゃんにはここで仕事をしてもらうことになっているのよ。」
コアラが代弁する。
「しかも期間が1週間って・・・俺を殺す気か!」
「1週間会えないだけで・・・2年間お前どうしてたんだよ・・・。」
エスメラルダは呟いた。
「何か言ったか?」
「別にー。」
サボは何か思いついたようにニヤッと笑った。
「コアラ、それいつからだ?」
「明日って言ったでしょ!」
「そうか。」
何企んでる・・・。
「サボ、支度しろよ?」
「はいはい。」
何かおかしいぞ。
急に素直に・・・。
あー、そういうことか。
逃げよ・・・
エスメラルダはその場を回避するようにコアラに任せて立ち退こうとした。
だが。
「おーい、エスメラルダ?」
サボに呼び止められた。
サボは純粋そうな笑顔のまま、
「ちょっと来てくれ!」
と、言った。
「何で・・・だ?」
笑顔が怖いぞ・・・。
「教えてほしいか?」
さらに笑顔になる。
「いや・・・遠慮しておくよ。」
「じゃ、来い!」
はぁぁ。
「私の危険センサーがフルに働いているのは気のせいか?」
「は?」
「何でもない。」
「メラルちゃん私行くよ?」
「え・・・。」
コアラがじゃあねーと行ってしまった。
コアラが見えなくなるまで見つめていると・・・
「おい。」
「!!」
サボが真後ろに来ていた。
「・・・一応聞いておく。」
「ん?」
「何故私を呼んだ?」
「決まってるだろ?」
いや・・・
それはちょっと困る。
「あー・・・私は用事があるんだが・・・」
「んなもんほっとけよ。俺と用事どっちが大事だ?」
「それは・・・」
用事だと言って逃れたい。
でも・・・。
「サボ・・・なんじゃないか?」