第16章 Past
愛されずに育ったエスメラルダは狂った。
「何がほしい?」
「何もいらない。」
「何がしたい?」
「何もしたくない。」
愛想のない娘となった。
でも、そんなエスメラルダを分かってくれた者もいた。
ルーラとラオルという親友だった。
エスメラルダは毎日のように2人と過ごした。
やがて月日が経ち・・・
弟が姉の状況を理解し始めた。
弟も両親が嫌いになった。
それでもエスメラルダの心の隙間は埋まらなかった。
エスメラルダは愛情表現を知らない。
だから愛される喜びも分からない。
愛してほしいなんて思わない。
だって愛を知らないから。
「姉ちゃん!ルーラとラオルが来てるよ!」
「何の用?」
「行かないの?」
「何で行くの?」
「姉ちゃん・・・。」
私は何?
一体何?
何をしたらこうなったんだっけ?
もう、分からないわ。
ねぇ。
知らない?
私が失くしたものって何?
でも。
忘れたんなら思い出す必要もないものだったんじゃないかしら?
忘れよう。
私に分からないものなんか必要ないわ。
でしょう?