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【銀魂】万事屋のお隣さん。

第2章 坂田銀時という人


「わあ!貴方が美和さんですか?神楽ちゃん達からお話聞きました。私、そよです。よろしくお願いします!」
「えっ……そよって……そ、そよ姫…様……?」
「もうお友達なんですから、様なんて付けないでください!そよって呼んでほしいですっ」

目の前の女の子は、見たことがないくらい可愛らしい子だった。いや見たことはあるんだろうけど、決して私みたいな庶民が会える存在ではないというかなんというか。とりあえず、緊急事態である。警報警報。

「そよちゃん!」
「神楽ちゃん!あのね、私、お友達が増えたんだよ!」
「よかったネそよちゃん!今度、美和とそよちゃんと私で遊びに行くアル!」
「うわあ、楽しみだなあ!あの、紹介してくれてありがとうございます!」
「いやいや、ウチの神楽と仲良くして貰ってるし?お礼は金でいいんで、いや寧ろ金がいいんで」

このちゃらんぽらん、坂田さんが紹介してくれるお仕事というのは、何を隠そう、そよ姫のお友達になることだったのだ。
給料も良いから!と言いくるめられてしまったが、よく考えれば遊んでる最中に転ばせて怪我でもさせた日には、私の首は胴体とさようならしていることだろう。内心冷や汗ダラダラである。

「私、お城とか身分とか、そういうのが全く関係ないお友達が欲しかったんです。神楽ちゃんはすっごく優しくて大好きだけど、神楽ちゃんには万事屋のお仕事があるから、ずっと遊んでなんて言えなくて……」

姫様が目を伏せると、長い睫毛が影を作る。まだ小さいのだから、友達が欲しいなんて言うのは当たり前だろう。そして友達がいない寂しさというのは、私が_____

「これからは私がいますよ、そよ姫」
「……え、」
「鬼ごっこでも、かくれんぼでも、なんでもしたいことをしましょう。私は貴方のお友達です」

そう言って笑うと、そよ姫は伏せていた目をぱっと見開き、そして満面の笑みを浮かべた。私の手を引っ張り、城内を走り出す。そよ姫、と声をかければ、そよ姫は振り返って、かわいい笑顔で楽しそうな声をあげて笑った。

本当は、坂田さんは、そよ姫が寂しがっていることに気付いていたのではないか。知り合いだとも言っていたし。
そよ姫を元気付けるために____。そう考えると、坂田さんは私が思うほど悪い人ではないのではないか。

私の心は、少し暖かくなった。
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