第4章 それは予防線
「ごめんなさい、送ってもらっちゃって」
「全然構いやせん!護衛の仕事は、俺から請け負うって言い出したんでさァ。か弱い女性を狙うなんて…侍として見過ごせないんでィ」
「総悟くん…」
顔だけじゃなかった。沖田総悟恐るべし。
まだ10代(のはず)なのに、ここまでしっかり仕事をしているなんて私とは大違い……ごほん。
私のお仕事が終わるのは6時である。早い時間だから送ってもらわなくても大丈夫だと言ったのに、結局押し切られてしまった。道中は気まずくならないように話を自然に繋いでくれて____繰り返すようだが、沖田総悟恐るべし。
「これから外に出る予定はありますかィ?」
「ううん、晩ご飯の材料はもう買ってあるし…今夜はずっと家かな」
「じゃあ、明日朝8時に迎えに行きまさァ」
「ありがとう。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
最後に手を振れば、少し照れながらも手を振り返してくれて、笑顔はドアの向こうへ消えた。
ふう、と一息ついて備え付けのテレビをつけてから給料で買ったソファーに腰掛ける。
画面をぼーっと見ながら、今日は色々なことがあったなあ、と思い返す。そよ姫と遊びに行って、そこで出会った総悟くん。そしてお城へ戻るなり貴方は狙われてますよ発言。そして先程出会った総悟くんに護衛されることに____なんて、今日だけでだいぶ寿命が縮んでいると思う。
そんなことを考えているうちに、私は深い眠りに落ちていったらしい。
「……ん…」
気怠げな身体を重く感じながら目を開ける。ニュースだったはずの番組は、なにやらバラエティに変わっていた。
寝すぎてしまったか、と立ち上がったその時、隣にある気配に気付いた。
「……わああああああっ!??」
なんで、どうして。言いたいことは山ほどあるのに、口をパクパクさせるだけで言葉が出てこなかった。
混乱した脳内を表現させるものは私の悲鳴だけで、その大きな声を間近で聞いたらしいこの人は眉間にしわを寄せて目を開いた。
「なな、なんで、いるんですかっ!坂田さん!!」
「あ?だっておめー……ノックしてもでねーし、玄関の鍵空いてるしよぉ……」
「だからって、デリカシーっていうか……!」
「ねえ、美和」
いつの間にか私の手は坂田さんに掴まれていて、ぐっと引き寄せられた。近くなる距離。
坂田さんは、私の耳に口を寄せて、そして、____