第3章 3
学園生活のハイライトってなんだろう?
文化祭? 体育祭? 修学旅行もあるね。部活動での大会や遠征もあるよね。
そこだけ時間が濃く流れる、そんな時もまた学園生活の醍醐味だなぁと、そう思うんだ。
「ヤバい……あいつらバリケードを突破しやがった。茅野ちゃん、渚くん連れてトイレに隠れててくれる?」
「カルマくん一人じゃ無理だよ! あいつらがどっか行くまで一緒に隠れてようよ!」
「いつ消えるかわかんないのに、ずっと隠れてろって? だったら倒して突破した方が早いじゃん!」
カルマがシャベルを持って駆け出した。茅野が自分を呼び止めていたが、このまま全員奴らの餌になるくらいなら自分一人でもなんとか殺ってやる。
「な、渚! こっち!」
「でもカルマくんが……」
オロオロしている彼の手を引いて、トイレに駆け込む。
個室へと渚を押し込んで、茅野はドアの隙間から周りの安全を確かめる。
手遅れになる前にカルマを助けに行かなくては。
茅野は戦闘向きではないが、サポートくらいなら出来る。二階に放送を流すことができれば、なんとか誘導できるはずだ。
「渚、私行くけどここで待っててね。絶対よ」
「えっ、茅野も行くの? なら僕も……」
「私一人で大丈夫! 渚にはね、ここでカルマくんを待っててほしいの」
「カルマくんを……? うん、わかった」
放送室に向かう彼女を見送り、渚は便器へと腰を下ろす。
小さい頃に想像した自由とだいぶ違う。こんなの望んでなかった。
確かに気の合う仲間と誰もいなくなった町、好きな時に好きなことができる。
町中にあんな化け物がはびこっていなければ楽しかっただろう。
「………よし」
渚は決意を固め、彼女の後を追いかけるようにトイレを後にした。