第7章 *6話*
「すみません。泣いちゃっ...」
抱きしめ、られた?
先輩の胸の温かさと、腕の温かさ。
「僕が忘れさせる役目を背負うよ。ツラかったり泣きたくなったら僕を利用していいから」
「せ、んぱい...?」
何を言ってるの?
利用なんて、しないよ。
そんな、ひどいこと...
「僕はそれでも構わないんだ。だって、君が好きだから」
先輩はギュッと抱き締めてくれる。
抵抗しても、離れようとしても。
本気なんだと伝わってくる。
「....」
忘れる、ためなんだから。
それ以上の感情はないんだから....