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【黒子のバスケ】ミルフィーユ【逆ハー】

第8章 海常高校


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(結局どうしたんだろう……涼太くん……)



夜が明けて、いよいよ海常高校との練習試合の日。
場所は相手の学校との事。

私達誠凛は電車を乗り継いで、今さっき着いたところだ。



「いつにも増して悪いです、目付き」

「るせー……寝れなかったんだよ」



このテツヤくんと火神くんの会話は、私の耳に届かない。

ずっと頭の中には涼太くんが居座ってて……全然離れてくれない状態だ。


その原因は返信。
いつも直ぐ返ってくる筈のメールが、昨日はあれっきり音沙汰なしだったから気になってしょうがない。



(まさか具合悪くしちゃったのかな……大丈夫かな……)



朝一でこっちから[おはよう]と送ってみたけど反応なし。
珍し過ぎて……私の胸は変に騒ついていた。


日頃あったものが急に無くなると……人は不安になったりするものだ。



「……さん、さん」

「?!」
(えっ……テツヤくん?)

「ボーッとしてると転びますよ」

(あ……ごめん……)



とにかく何もなければいい。
体育館に着いたら、彼の姿が目に入ればそれでいい。

涼太くんは明るくて元気なのが1番。
それがないなんて……私は嫌だ。



「お前も寝れなかったのかよ」

【寝れたけど……ちょっと考え事してたからあんまり……】

「考え事?今日、」

「どうもっスー!!」



火神くんの声と重なって聞こえた、明るくて聞き覚えのある声。

火神くんは会話を邪魔されてイラついたのか、ちょっと不機嫌そうに舌打ち。
けどそんな彼より私は涼太くんの方を見つめていた。


何も変わらない……普段通りの涼太くんがこちらに向かって走ってくる。
笑顔で走ってくる。



「広いんでお迎えにあがりましたー!」

「黄瀬テメェ……人が折角こいつと話し、」

「っちー!」



そして速攻で私に近寄ってくる涼太くん。

都合がいいかもしれないけど……嫌われてしまったとも考えていた私。
元気そうだし、いつもなら身構えてしまうところだが……彼のこの行動が今はとても嬉しかった。


だから私は自ら涼太くんに近付いて、彼の着ているシャツを掴み瞳を見つめる。



「っ……」
(よかったぁ……っ)



目に涙を浮かべながら。


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