第7章 練習試合前日
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あれから数日後。
今日は練習試合前日との事で、普段の練習は軽めで終わった。
実はあの涼太くん突撃訪問からずっと……私はみんなから質問攻めにあっていたりする。
「本当に付き合ってないのか?」
【本当です……!】
日向先輩はもはやこれしか言ってきてない気がする。
「まあ黄瀬は見てるだけで色々とムカつくけどなぁ」とか……「嘘ついてんじゃねぇだろうな?もしついてたら……」って、試合でもないのにクラッチタイムに入ったりするから恐ろしい。
それからコガ先輩も似たようなもので、ちょっとでも会話する機会があると……
「ねえねえ!俺には本当の事教えてよ!」
とか言ってくる。
私は嘘なんてついてないし、全て本当の事を述べているのに……どういうわけかみんな信じてくれない。
けど伊月先輩は違った。
私の言う事をちゃんと信じてくれる。
「今日も聞かれて大変だな」
(は……はい……)
「まあでももう少ししたらみんな落ち着くだろ、大丈夫」
【ありがとうございます……】
どうしてだろう。
この「大丈夫」という一言が……何故だかとても落ち着く。
先輩が微笑みながら言ってくれたからか、声に優しさがあるからかはわからないけど……
自分に声がない分、人の声には敏感だから……多分後者だ。
「でも明日はまた大変な事になりそうだな」
【すみません……】
「ちゃんが謝らなくていいよ。何も悪くないから」
よく周りを見ていて気遣いができる伊月先輩。
モテそうだなと思ったのは当たっていたけど、彼女はいないらしい。
その理由は……先ずバスケを優先してしまうし、何より時間がもったいないからだそう。
けどもし彼女が出来たら……きっと凄く大切にしてくれるんだろうなと思った。
【今日涼太くんに言っておきます……】
「ははっ、黄瀬は聞かなそうだけどな」
(うぅ……)
「まあ俺が心配してるのは……」
「??」
(なんだろう……)
「抱きつかれすぎて、ちゃんの心肺が停止しないか心配だな」
それと言い忘れたが、先輩はダジャレ好きである。
これが原因で去っていく女の子も多いとか。
ちなみに今もサラリといい顔で言ったけど……
私は嫌いじゃない。