第5章 「日本一にします」
火神side
翌朝。
昨日3人で気合いを入れたせいか、朝から身体が疼いて仕方がない俺。
この衝動を制御できなくて、学校が始まるずっと前から家を出た俺は今、公園でボールと仲良くしていた。
(やべー……全然興奮がおさまらねぇ!)
何度ドリブルしても何度シュートしても、このウズウズは止められない。
早く試合がしたくてしたくてしょうがなくて、口角がさっきから上がりっ放し。
……だからだろうか。
がクスクスと笑いながら、傍でこっちを見ていたのは。
「いっっっつからいたんだよテメェは!!」
(あ、バレちゃった)
【5分くらい前からかな……?】
「声くらいかけろよ!!」
そういえば昨日から……俺は不思議とと会話出来ている。
実際はドキドキして落ち着かないし、本当ならもっとしどろもどろになる筈なのにどうしてだろうか。
出会って4日目でもう……?なんて考えが脳内にチラつく。
(ご、ごめん……)
「……いやそんなに落ち込むなよ」
現時点ではまだ恋心は全くない。
けどこのチラ付きが、これからの俺を急速に変えていくキッカケとなる。
勿論バスケも大事だけど、の事も頭から離れなくなるくらい想う日々がやって来るなんて……今の俺には全く想像がつかなかった。
「つか早えな」
(あっ、えっと……)
【なんかジッとしてられなくて】
「なんだお前もかよ」
「??」
(お前もって……火神くんもなのかな)
「今から行ったって暇だろ。ちょっと付き合えよ」
「!!」
(う、うん……!)
どうせ同じクラスだし、折角だから自分の動きを見ててもらう事にした。
……とは言ってもこいつはただのマネージャー。
的確なアドバイスなんて最初から期待していなかったけど……実はそうでもなくて驚いた。
話を聞けば、中学時代スカウティングが得意だったらしい。
【さつきほどじゃないけどね】
そのさつきってのが誰だかわからないけど、はでよく見ていると俺は思う。
強豪校出身は、例えマネージャーでも優れているらしい。