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【黒子のバスケ】ミルフィーユ【逆ハー】

第2章 紙とペン


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(わっ……どうしよう人が多い……)



桜の花びらが舞い散る今日。

私は新しい制服に身を包んで、校舎から校門までの道の端で足止めをくらっていた。
目の前ではあちこちの部活が新入生を勧誘している。


私もあの部活にマネージャーとして入部を希望したいんだけど、先ずどこで受け付けているのかもわからないし、何より話しかけられる事が怖くてたまらない。


何故なら私は……同じく声で返す事が出来ないから……。



「ねぇキミ!よかったらさ!野球部のマネージャーにならない?!」

「!!……」

「ねっ!どうかな!」

「っ……」
(ご、ごめんなさい……!)

「あ!待ってよねぇ!……なんだ?走って逃げたりして」



話せない事に対して恥ずかしいとかそういう気持ちはない。
ただ相手に申し訳ないし、何より会話に時間がかかるから嫌だ。

手話を覚えてもよかったけど……誰もが習得しているわけではなかったから勉強はしなかった。


だから私の会話方法は書くこと。
一々紙に書いて見せるからちょっと大変なのだ。



(困ったな……どこにあるんだろう、バスケ部……)



その為のメモ帳は常にポケットの中。

そこに【バスケ部はどこにありますか?】と書いたページがあるのだが……やはりなかなか見せにくいもの。

だから自力で、なるべく目立たないように人混みをかき分けながら探す私はもう泣きそうだ。


早く帰って安心したいのに。



「バスケ部ー!バスケ部はいかがですかー!」

「バスケットだけに助っ人募集中!」

(あっ……見つけた……!あった!)



と、本当に涙が滲んできた時に耳にした救いの勧誘言葉。
もう嬉しくて、私はその人達の前まで走って行った。

だからか、息を切らして現れた私に不思議そうな顔を向ける先輩3人。


でもそんなのお構いなし。
私はポケットからメモ帳を取り出して



【マネージャーとして入部させて下さい】



と書いた。


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