第3章 黒子は僕です。
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翌日。
今日から早速仮入部が始まるという事で、私はバスケ部の活動場所である体育館へとやって来た。
「ちゃん!」
(あ……カントクだ……!)
「よかったわ早めに来てくれて」
するとカントクが真っ先に私の所へ近寄ってきて、自分が手にしていたメモ帳を指差しながらこう言った。
「今のうちにみんなの紹介をしておくわ。その方が楽だと思って」と。
「あなたの事は私が代わりに言ってあげるから、ちゃんはみんなの名前とポジションを覚えてね!」とも言ってくれる。
けどいきなりこんなに気を使わせてしまっていいのだろうか。
やはり自分はお荷物ではないのか……と考えてしまう私。
他にマネージャー志望はいないみたいだし、私が自力で頑張らないと……ずっとカントクに甘えるかたちになってしまうのではないか。
〝申し訳ない……〟
ずっと考えていたらもうこれしか頭に浮かんでこなくて、表情も暗くなってしまう。
「気にしなくていいわよ。ね?」
「っ……」
(本当にすみません……)
「それにみんないい奴だし、ちゃんの事はちゃんと理解してくれるわ」
このカントクの言葉……〝みんないい奴〟というのは本当だった。
主将でシューティングガードの日向先輩も
副主将でポイントガードの伊月先輩も
センターの水戸部先輩も
フォワードの小金井先輩も
パワーフォワードの土田先輩も……
みんなが笑顔で私を受け入れてくれた。
「心配しなくていい」「何かあったらいつでも言って」
と、次々と優しい言葉を貰った私は涙腺が緩んでしまう。
「泣くなダアホ」
「っ……」
(はいっ……)
バスケ部のマネージャーにしようと思ったのは、ただ中学の時にやっていたからという理由だけだったけど……
こんなにも素敵な先輩達に出会えたから、やっぱりバスケ部にしてよかったと……心からそう思ったひと時であった。