第6章 星をさがしに(国見&金田一)
その言葉に金田一が反応する。
「ずっとはどうかなー。
俺はともかく国見はそこそこモテてるからな。
彼女でもできたら、難しくなるかもな。」
「は?別に普通だし。金田一がモテなさすぎなだけ。
ていうか俺そういうの興味ないから。めんどくさいし。」
俺が少し不機嫌な口調で言い返すと、凪沙が俺の方を向いて話しかける。
「えー、英ちゃんモテるんだー。すごいねー。
高校生ってやっぱりそういうのあるんだね。」
「だからモテてないって別に。
モテるっていうのは及川さんみたいなのを言うんじゃないの。」
「及川さん?」
「ああ、凪沙は知らないか……。
まあとにかく、金田一の言うことは気にしなくていいから。」
俺はそう言ってこの話はおしまい、と打ち切った。
「まあまあ、国見が彼女作って俺たちの相手してくれなくなっても、俺らは二人で遊べばいいじゃん。」
「えー、三人がいいー。」
金田一の提案に凪沙が口をとがらせる。
「お前なあ、昔は国見に泣かされて俺のとこ逃げて来てたくせに生意気になったなー。このやろ!」
「きゃっははは!あーやめてやめ……あはは!」
金田一にくすぐられて凪沙は笑い声をあげて暴れる。
「やめ……!ゆうちゃんやめてー!あきらちゃん助けてー……。」
なんとか逃れようと凪沙が腕をこちらに伸ばす。
「ふたりともうるさいよ。」
俺が冷たく言い放つと金田一はくすぐるのを止めた。
「あー苦しい……。」
凪沙は乱れた呼吸を整えながらそのまま金田一の胸に収まる。
「ゆうちゃんあったかいねー。」
「凪沙あんまりくっつくと金田一に襲われるよ。」
「襲わねえし!」
「じゃあ俺もー。二人とも体温高いよね。」
俺は二人とくっついて再度空を見上げる。
「流れ星見えた?」
「いや、まだ……。」
「誰が一番に見つけるかな。」
それから俺たちはしばらく黙って星を眺めた。
そっと凪沙の手を取ると、手袋越しに少しだけ握り返してきた。
彼女は、一体何を思って俺の手を握っているのだろうとぼんやりと考える。