第4章 37.9度(赤葦 京治)
「おーい、早川連れてきたぞ!」
木葉がそう言って保健室に入る。
「おう、ありがとな。木葉。」
小見が礼を言って手を振る。
少し遅れて、肩で息をしながら早川がやってくる。
「木葉、走るの早いって……。」
ベッドのそばには、バレー部のメンバーが群がっている。
「赤葦、聞こえるか。早川きたぞ。」
木兎がそう声をかける。
「京治、大丈夫?」
早川がベッドのすぐそばまでやってきて心配そうにささやく。
そこには苦しそうな表情の赤葦が横になっている。
「ウォーミングアップ中に倒れたんだよ。
保健の先生いなくてさ、もう帰れって言ってんのに、
こいつ頑固だからさ、練習出るってきかなくて。
ごめんな早川の言うことなら聞くかと思って。」
猿杙が状況を簡単に説明する。
「昨日から風邪気味だったみたいだから……。
ついに限界が来たかってかんじかな。」
そう言って早川は赤葦の額の汗を拭う。
「うわ、すごい熱……。私がなんとか連れて帰るから。
みんなは部活戻って。」
「悪いな。あと頼むわ。」
「じゃあな、赤葦。お大事に。」
「ちゃんと治せよー。」
「早く元気になって部活しような。」
みんなは早川の言葉に従ってぞろぞろと保健室から出ていく。