第23章 また、近いうちに(白布 賢二郎)
マンションのエレベーターで、懐かしい顔と再会した。
「あ」
「うわ」
「うわってなによ、うわって」
「いや別に……」
眉間にしわを寄せながらも賢二郎がドアの前から一歩ずれてくれる。
私は乗り込んで、「閉」ボタンを押す。
私と賢二郎は、同じマンションに住むご近所さんだ。
俗にいう幼馴染ってやつなんだろうけど、そう言うとなんだか少女マンガみたいで腹立たしい。
私と賢二郎は、そういう関係では一切ないし、悲しいかな今後もその可能性はゼロだ。
マンションとは言っても築20年を超えている至って普通の集合住宅で、私は6階、賢二郎は7階に住んでいる。
今は賢二郎は白鳥沢の寮に入っているので、厳密には「住んでいる」とは言わないのかもしれないけど。