第18章 何度目の青空か(木兎 光太郎)
ガン!!
木兎がロッカーの扉を乱暴に閉めると、その大きな音に周囲のみんなの視線が集まる。
「クソ!!!」
ここ最近、木兎は調子が悪く、試合に出れば得意なクロススパイクをことごとく止められている。
イライラするのも無理はない。
それに加え、今日は練習中に指を捻挫し、休養を言い渡されてしまった。
通常であれば指の捻挫なら基礎練習には参加するのだが、精神的に荒んでいた木兎の様子を加味しての判断だったのだろう。
「木兎、そんなカリカリしたって仕方ないだろ。スランプくらい誰にだってあるって。」
同じ2年の小見が気を使うと、他の2年勢も代わる代わる声をかける。
「そうそう。少し落ち着け。たまには休めってことだよ。」
「木兎は俺らの年代じゃ有名人だから、研究されて当然なんだよ。また作戦たてて、練習してこうぜ。」
「頼りにしてるぜ、エース。」
根が単純な木兎のプライドをくすぐる言葉を並べるチームメイトたち。
「……分かった。」
険しかった表情を少し緩ませて、木兎は小さく返事をした。
手早く制服に着替えて、荷物をまとめる。