第16章 告白(山口 忠)
「ねえねえ、山口。来週インハイ予選なんでしょ。見に行きたいなー。行ってもいい?」
塾からの帰り道、早川が突然そんなことを言い出した。
「え、でも勝てるかどうかわかんないし、ここからちょっと遠いとこでやるし……。」
俺がオドオドとしていると、早川は残念そうな表情になった。
「中学のときは、来て来てー!って感じだったのに。変わったね、山口。」
「え、そうかな……。」
本当は、早川が試合の応援に来てくれるならそんなに嬉しいことはない。
来てほしくない理由ははっきりしている。
(俺、試合出られないし……。多分がっかりさせる。)
情けなく背中を丸めて歩いていたら、
「そういえば、月島君は?げんき?」
早川が話題を変えたのでほっとする。
「あ、ツッキー?うん、元気だよ。いつも通り。」
「月島君にも久しぶりに会いたいなー。彼、高校でモテてるでしょ。」
「うん。でもツッキーはあんまりそういうの興味ないみたい。ていうか、迷惑がってる……。」
「ぽいねー。想像できる。」
ツッキーは中学の時もそれなりにモテたけど、高校になってから勢いは増しているように思う。
背が高くてスポーツ万能で、頭もよくて、顔だってかっこいい。服とか持ち物のセンスも良くて、よく買い物に付き合ってもらってる。
ツッキーは自慢の友達だ。