第14章 魔法をあげる(西谷 夕)
西谷と早川は幼馴染だ。
子供のころからバレーに夢中だった西谷に影響されて、早川も小学生からバレーをはじめた。
才能があってみるみる成長していった西谷は、性格も明るかったこともあり、みんなから可愛がられ、人気者だった。
「いいか、凪沙。バレーで一番かっこいいのはリベロだ!」
「うん。私もリベロになる!夕みたいにかっこいい選手になる!」
早川は身長も低く、お世辞にも運動神経が良いとは言えなかった。
それでも西谷に憧れて一生懸命にその背中を追ってきた。
中学の部活でも高校に入ってからも、彼女はずっと補欠だった。
それが、2年になって、部員が少なくリベロが他にいないことを理由に彼女が初めて試合に出ることになったのだ。